Article

物性物理学:カシミールトルクの測定

Nature 564, 7736 doi: 10.1038/s41586-018-0777-8

分子間力は自然界の至る所に存在しており、表面ぬれ、生物学における接着力、カシミール効果など、さまざまな現象を生じさせる。カシミール効果は、真空中の2つの電荷中性金属物体間に引力を発生させる。この相互作用は、電磁波の量子ゆらぎと、相互作用する物質によって課される境界条件によるものである。物質が光学的異方性を示す場合、偏光が異なると屈折率が異なり、最小エネルギーの位置まで物質を回転させるトルクが生じると予想されている。このカシミールトルクは、40年以上前に予測されたが、大きさが小さいためこれまで直接測定できなかった。今回我々は、複屈折固体結晶(方解石、ニオブ酸リチウム、ルチル、バナジン酸イットリウム)と液晶(5CB)という2つの光学異方性物質間のカシミールトルクを実験的に測定した。我々は、物質の選択を通して、トルクの符号と強さと共に、トルクの回転角依存性と物質間距離依存性を制御した。測定によって得た値は計算結果と一致しており、隔てられた2つの物体間において量子ゆらぎによって誘起される力学的トルクが存在し得るという長年の予測が検証された。今回の結果は、カシミールトルクを、マイクロスケールやナノスケールの作動機構として使用することの扉を開くもので、こうした機構は微小電気機械系や液晶を含むさまざまな技術に適していると思われる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度