Letter

神経科学:運動に起因する音の抑制を学習する皮質のフィルター

Nature 561, 7723 doi: 10.1038/s41586-018-0520-5

音は環境から起こり得るが、自分自身の運動の多く、例えば発声・歩行・音楽演奏などから予測可能な形で起こることもある。こうした運動に関連した(再求心性の)音を予測し、環境由来の音と区別する能力は正常な聴覚に不可欠だが、自身の運動が原因で起こるしばしば恣意的で変わりやすい音を予測することを学習する神経回路についてはほとんど分かっていない。今回我々は音響バーチャルリアリティー(aVR)システムを開発し、マウスに新奇な音を自分の移動運動と関連付けることを学習させた。これによって再求心性音の抑制を学習する神経回路機構を明らかにすることができ、この予測可能な感覚運動経験の行動上の結果を厳密に調べられた。我々は、aVR経験が再求心性周波数に対する聴覚皮質応答を徐々に、かつ選択的に抑制すること、そしてその一因は再求心性音に応答する聴覚皮質抑制性ニューロンの運動皮質による活性化の増強であることが分かった。この可塑性には行動的適応性があり、aVRを経験したマウスは、運動中に再求心性音以外の音を感知する能力が強化されていた。これらの結果から、運動皮質から聴覚皮質への入力が関与する動的感覚フィルターが経験によって形成され、運動に起因する予測可能な音を選択的に抑制することが明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度