Letter
気候科学:後期更新世の間氷期における東南極氷床からの氷の損失
Nature 561, 7723 doi: 10.1038/s41586-018-0501-8
地質学的な過去での氷床の挙動の解明は、気候システムにおける雪氷圏の役割を評価し、将来の温暖化シナリオにおける海水準上昇の速さと規模を予測するのに不可欠である。地質データと氷床モデルは共に、東南極氷床の海洋を基部とする部分は、鮮新世の温暖期に不安定だったことを示しているが、後期更新世の間氷期における氷床ダイナミクスは極めて不明確である。本論文では、温暖な後期更新世の間氷期において東南極のウィルクス氷底盆地の周辺の氷床外縁が後退もしくは薄化したことを示す、海洋の堆積学的記録と地球化学的記録から得られた証拠を提示する。堆積物供給源の最も極端な変化は、氷床侵食の場所の変化を記録しており、南極の気温が2500年以上にわたって産業革命以前より2°C以上高かった海洋同位体ステージ5、9、11の時期に生じていた。従って、今回の研究から、長期にわたる南極の温暖期とウィルクス氷底盆地からの氷の損失との間の密接な関連が示され、温暖な間氷期における東南極氷床の縮小の海水準への寄与を裏付ける氷床隣接部のデータが得られた。東南極氷床の他の領域の挙動はまだ評価されていないが、ウィルクス氷底盆地からの氷の損失には、将来の穏やかな温暖化で十分な可能性があると思われる。

