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がん:前がん状態の腫瘍細胞は膵管内を移動しながら進化を遂げる
Nature 561, 7722 doi: 10.1038/s41586-018-0481-8
ほとんどの成人のがんは、非浸潤性の前がん病変から生じて進展し、こうしたプログレッションの様式は遺伝学的解析により裏付けられている。しかし、同時に存在している前がん病変間での進化的および遺伝的な関係性については不明である。本研究では、同一患者の膵臓の異なる部位から採取した膵臓がんと前がん病変について、体細胞性バリアントを解析した。進化的関連性を推測したところ、創始となる細胞はイニシエーション後にクローン増殖して、1つもしくは複数の前がん病変を形成し、その後に生じたドライバー遺伝子の変異が、最終的に浸潤性の膵臓がんにつながることが判明した。この多段階にわたるプログレッションには、通常は長い年月がかかると推定された。本研究における新たな知見は、1つの膵臓内で別の部位に観察される複数の高悪性度の膵臓前がん病変が、多くの場合、単一の新生物として膵管系に定着し、時間経過とともに、空間的および遺伝的な変動を蓄積していくことを例証することで、膵臓がんの多段階プログレッションモデルを再考するものである。

