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分子生物学:真核生物でのタンパク質複合体の組み立ては翻訳と同時進行であることが、リボソームのプロファイリングにより明らかになった

Nature 561, 7722 doi: 10.1038/s41586-018-0462-y

細胞内の混み合った環境では、新しく合成されたタンパク質を折りたたんであるべき天然状態にすることは非常な難問であり、生産に関わらない相互作用が起これば、誤った折りたたみ、凝集や分解につながることもある。細胞は、合成をポリペプチドの折りたたみと連動させたり、翻訳と同時に起こる折りたたみを分子シャペロンを使って保護したりすることで、この難問に対処している。だが、細胞のプロテオームのほとんどはオリゴマー集合体を形成しているが、この折りたたみの最終段階、すなわちポリペプチドからの複合体の組み立てについてはほとんど解明されていない。原核生物では、概念証明研究によって、ヘテロ二量体であるルシフェラーゼの組み立てが翻訳と同時に行われる組織立った過程であって、ポリシストロン性の1本のmRNAにコードされた複数のサブユニットの翻訳が限定された空間で行われることが、この過程を助けていることが明らかにされている。しかし真核生物では、ポリシストロン性のmRNAがまれなことや異なるシャペロン群といった根本的な違いがあることで、複合体の組み立てが翻訳と協調しているのかどうか、疑問が持たれていた。本論文では、リボソームのプロファイリングを用いて、真核生物のタンパク質複合体の組み立てについて、手順および機構についての解析を行った。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の12のヘテロオリゴマータンパク質複合体について、新生サブユニット間のin vivoでの相互作用をアミノ酸残基レベルに近い分解能で決定した。9つの複合体は翻訳と同時に組み立てられ、翻訳時に相互作用が見られない3つの複合体は、専用の組み立て用シャペロンによって調節が行われていることが分かった。翻訳と同時に行われる複合体組み立ては一方向性であることが多く、合成が完了した1個のサブユニットが結合相手となる新生サブユニットに結合し、それによって新生サブユニットの凝集傾向が打ち消される。翻訳と同時に起こるサブユニット集合は、リボソームの出口トンネルから相互作用を行う新生ドメインが完全に出てくるや否や、開始される。リボソームに結合したHsp70シャペロンであるSsbの働きは複合体組み立てと協調している。Ssbは、部分的に合成された相互作用ドメインに一時的に結合し、結合相手となるサブユニットとの会合が始まる前に遊離するが、これはおそらくサブユニットの集合が早過ぎる時期に起こるのを防ぐためだろう。これらの知見は、酵母では翻訳と同時に起こるサブユニット集合がヘテロオリゴマー組み立ての機構として広く用いられていることを明らかにしており、タンパク質複合体の翻訳、折りたたみ、集合は、真核生物においても一体化した過程であることを示している。

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