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グラフェンにおける光場駆動電流

Nature 550, 7675 |  Published: |  doi: 10.1038/nature23900


高強度の光電磁場を用いて電子を操作できるようになったことで、サブフェムト秒(10−15秒未満)の時間スケールで電子ダイナミクスを制御する可能性が開かれた。誘電体や半導体においては、高調波発生、サブ光サイクルのバンド間ポピュレーション移動、過渡分極率の非摂動的変化など、光場によって駆動されるさまざまな効果が研究されてきた。これに対して、ナローバンドギャップ系や導体については、自由キャリアによる遮蔽や光吸収のせいで強い光場を印加することが難しく、光場駆動電子ダイナミクスに関する知見ははるかに少ない。グラフェンは、広帯域・超高速光応答を示し、遮蔽が弱くて、損傷しきい値が高いことから、導電性材料中の電子の光場駆動制御を実現するための有望なプラットフォームである。今回我々は、2サイクルレーザーパルスによって単層グラフェンに誘起される電流が、電場波形、すなわちキャリアエンベロープ位相によってアト秒(10−18秒)の時間スケールの精度で制御されたパルスの光キャリア場の正確な形状に敏感であることを示す。このキャリアエンベロープ位相に依存した電流は、駆動場振幅が約2 V nm−1を超えると向きが反転する。この電流の向きの反転は、光–物質相互作用が、低強度(光子駆動)領域からバンド内ダイナミクスがバンド間遷移に影響を及ぼす高強度(光場駆動)領域へと遷移することを示している。我々は、この高強度領域では電子ダイナミクスが、フェムト秒時間スケールのコヒーレントな繰り返しLandau–Zener遷移からなるサブ光サイクルのLandau–Zener–Stückelberg干渉によって支配されることを示す。さらに、このサブ光サイクル干渉の影響は、レーザーの偏光状態で制御できる。グラフェンにおけるこうしたコヒーレント電子ダイナミクスは、電子–電子散乱(数十フェムト秒)や電子–フォノン散乱(数百フェムト秒)よりも速く、これまで研究されなかった時間スケールで起こる。我々は、今回の結果がバンド構造トモグラフィーや光場駆動ペタヘルツエレクトロニクスに直接的な影響を及ぼすと予想する。

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