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生態学:野生での生物多様性の影響は一般的で、生産力の主要な駆動要因と同等の強さを持つ
Nature 549, 7671 doi: 10.1038/nature23886
500を超す対照実験の結果からは、総合すると、生物多様性の喪失は生態系の生産力および安定性を低下させることが示唆されている。しかし、世界の生態系を維持する上での生物多様性の重要性についてはなお議論が続いており、主としてそれは、非生物的要因による強い強制および複雑な相互作用が生物多様性の作用を打ち消すと想定される自然界で検証が行われていないためである。今回我々は、生物多様性のバイオマス生産への影響と非生物的要因による強制の影響とを統計的に分離した67件の野外研究について、報告された133の推定結果を分析することで、この想定を検証した。その結果、過去20年間にわたり主流だった、自然界での生物多様性の影響はほとんどないか、あっても弱い、とする見解に反して、広範な野生タクソンおよび生態系において種の豊富さに伴ってバイオマス生産が増大することが明らかになった。実際、環境共変量を調整した後では、自然界の生物多様性に伴うバイオマスの増加はこれまでに実験で確認されてきたものよりも強く、気候および栄養素の利用可能性など、生産力の駆動要因としてよく知られた他の要因の影響と同等もしくはより強力であった。以上の結果は、種の豊富さが群集のバイオマス生産を増加させることを示す総合的な実験証拠と一致し、生産力の高い生態系の維持における生物多様性の役割が、地球環境変化の科学および政策で重要視されるべきであることを示唆している。

