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幹細胞:m6Aは造血幹・前駆細胞の運命指定を調節する
Nature 549, 7671 doi: 10.1038/nature23883
N6-メチルアデノシン(m6A)は、真核生物のメッセンジャーRNA(mRNA)に最も多く存在する修飾であると確認されている。ハイスループット塩基配列解読技術が急速に発展したことで、m6A修飾の生物学的機能の手掛かりが得られるようになっているが、脊椎動物胚発生におけるm6Aの機能についてはほとんど分かっていない。本研究では、ゼブラフィッシュ胚発生の際に、m6Aが内皮造血転換(EHT)の間に細胞運命を決定し、最初期の造血幹・前駆細胞(HSPC)の指定を行うことを示す。m6A特異的なメチル化RNA免疫沈降法とハイスループット塩基配列解読を組み合わせた解析(MeRIP–seq)および、m6Aの単一ヌクレオチド分解能でのクロスリンク免疫沈降後の塩基配列解読(miCLIP–seq)解析から、ゼブラフィッシュm6Aメチロームの保存された特性と、RRACHというコンセンサスモチーフを持つ終止コドン付近でのm6Aピークの選択的分布が明らかになった。mettl3欠損胚ではm6Aレベルが著しく低下しており、HSPCの出現が妨げられた。機構的には、動脈内皮遺伝子のnotch1aとrhocaのYTHDF2を介したmRNA分解の遅延が、この有害な作用に関与することが明らかになった。mettl3欠損胚の動脈内皮細胞でのNotchシグナル伝達の持続的な活性化はEHTを阻害し、その結果、最初期のHSPCの形成が抑制される。さらに、マウスでのMettl3のノックダウンも、同様の表現型を示した。以上より、我々の知見は、脊椎動物胚発生中のHSPCの運命決定にm6A修飾が重要な機能を持つことを実証している。

