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量子物理学:小分子と量子磁性体の計算のためのハードウエア効率の高い変分量子固有値ソルバー

Nature 549, 7671 doi: 10.1038/nature23879

量子コンピューターを用いて、電子構造問題や、相互作用フェルミオン問題として定式化できる材料科学や物性物理学の問題に取り組むことができる。これらの問題は、既存の高性能コンピューターの限界に挑むものである。そうした問題に対して数値的に厳密解を見いだすための計算コストは系のサイズとともに指数関数的に増加し、また、モンテカルロ法はフェルミオン負符号問題があるため適していない。古典的計算法にはこうした限界があるので、数個の原子の電子構造の問題を解く場合であっても、中程度のサイズの量子コンピューターを用いた実装が興味深いものとなる。しかし、これまで実験的に実装されたのは、水素とヘリウムのみを含む分子に限られていた。今回我々は、6以下のキュービットと100を超すパウリ項を用いてハミルトニアン問題の実験的最適化を実証し、BeH2までのサイズの分子について基底状態エネルギーを決定した。この結果は、変分量子固有値ソルバー(固有値ソルバー)と、今回の量子プロセッサーに利用できる相互作用に特別に合わせて効率的に準備された試行状態を用い、フェルミオン・ハミルトニアンのコンパクトなコード化とロバストな確率的最適化ルーチンを組み合わせることで得られた。我々は、量子磁性の問題である、外部磁場中の反強磁性ハイゼンベルクモデルに今回の手法を適用することによって、その柔軟性を実証した。全ての場合で、雑音のあるデバイスのモデルを用いて今回の実験と数値シミュレーションとの一致が見いだされた。今回の結果は、この方法をより大きな系にスケールアップするための必要条件と、高性能計算における主要問題とその量子ハードウエア上への実装の間のギャップを埋めるための必要条件の解明に役立つ。

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