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微生物学:完全硝化菌の速度論的解析により、貧栄養状態の生活様式が判明

Nature 549, 7671 doi: 10.1038/nature23679

硝化とは、アンモニア(NH3)の亜硝酸(NO2)を経た硝酸(NO3)への酸化のことで、生物地球化学的窒素循環の重要な過程の1つである。数十年にわたり、アンモニア酸化はアンモニア酸化細菌(AOB)およびアンモニア酸化アーキア(AOA)に、亜硝酸酸化は亜硝酸酸化細菌(NOB)によって別々に触媒されると考えられていた。しかし最近、単独でアンモニアを硝酸に変換する完全アンモニア酸化細菌(complete ammonia oxidizer;comammox)がニトロスピラ(Nitrospira)属のNOBの中から発見され、ニトロスピラ属の完全アンモニア酸化細菌が古典的硝化菌との競争に勝つのはどのような生態的ニッチなのか、という疑問が生じている。今回我々は、完全アンモニア酸化細菌Nitrospira inopinataの純粋培養を確立し、この菌が、アンモニアに対する高い親和性、アンモニア酸化の最大速度の低さ、古典的硝化菌に比べて高い増殖収率、ゲノムに備わる代替的代謝経路を有することから、貧栄養状態にある変動しやすい環境でのゆっくりした増殖に適応していることを明らかにする。比較のために、土壌と温泉由来の4種類のAOAについて硝化の速度論を調べた。これらの菌は驚くほど基質親和性や増殖収率が低かったことから、これまでの推測に反して、AOAは、貧栄養環境では必ずしも最も競争力の高いアンモニア酸化菌ではないことが判明し、解析したアンモニア酸化菌分離株全ての中で、海生AOAであるNitrosopumilus maritimus SCM1を除けば、N. inopinataの基質親和性が最も高いことが分かった。これらの結果は、貧栄養状態にある、変動の大きい条件下での硝化に、完全アンモニア酸化細菌が何らかの役割を果たしていることを示している。

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