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構造生物学:MsbAが介在するリポ多糖輸送の構造基盤
Nature 549, 7671 doi: 10.1038/nature23649
グラム陰性細菌の外膜に含まれるリポ多糖(LPS)は、菌細胞を覆うエンベロープの組み立てに不可欠である。内膜の細胞質側の層で合成されたLPSは、ATP結合カセット輸送体であるMsbAによりペリプラズム側の層へと反転移動する。MsbAが駆動するLPSの反転移動の基盤となる構造的機構は、相当な労力が費やされたにもかかわらず、まだ分かっていない。今回我々は単粒子低温電子顕微鏡法を用いて、脂質ナノディスクに埋め込まれたMsbAの3つの機能状態の構造を明らかにした。ヌクレオチドを結合していないMsbAの膜貫通ドメインの4.2 Å分解能での構造から、LPSはMsbAの内部深く、ペリプラズム側の層の高さに合致する位置に結合していて、MsbAとの間に親水性、また疎水性の相互作用を広く確立して結合していることが明らかになった。ADP-バナジン酸あるいはADPを結合したMsbAについて、サブナノメートルの分解能で得られた2つの構造から、これまで知られていなかった閉じたコンホメーションと内側を向いて開いたコンホメーションがそれぞれ明らかになった。我々の研究は、LPS認識の構造基盤を明らかにしており、LPSを反転移動するためのMsbAのコンホメーション移行の概要を説明するもので、これは他の脂質フリッパーゼの構造学的性質を調べるための道を開く。

