構造生物学:ニューロンのエキソサイトーシスに備えてプライミングされたSNARE–コンプレキシン–シナプトタグミン複合体
Nature 548, 7668 doi: 10.1038/nature23484
シナプトタグミン、コンプレキシン、ニューロンのSNARE(soluble N-ethylmaleimide sensitive factor attachment protein receptor)タンパク質は、刺激によって起こる神経伝達物質の同期した放出に関わっているが、これらの分子同士を協調させる分子機構はまだ解明されていない。今回我々は、プライミングされた融合前のSNARE–コンプレキシン–シナプトタグミン1複合体の結晶構造を複数決定した。これらの構造から、SNARE複合体およびコンプレキシンの両方がシナプトタグミン1と接触しており、この3つが三元複合体を形成していて、予想外の接触面が存在することが明らかになった。さらに、シナプトタグミン1の2番目の分子がSNARE複合体の反対側の面に同時に結合していて、この結合に関わるのが、以前に明らかにされた1番目の接触面であることも分かった。どちらかの接触面を溶液中で壊すような変異があると、ニューロンでの同期した神経伝達物質放出の誘発も強く障害されるので、プライミングされた融合前の状態には、両方の接触面が不可欠であると考えられる。シナプトタグミン1の各分子へCa2+が結合すると、複合体を形成している束縛が解除され、SNARE複合体がジッパーが締まるように完全に閉じて、膜融合が引き起こされる。刺激による融合の開始には、シナプス小胞のドッキング部位でのSNARE–コンプレキシン–シナプトタグミン1の三元複合体の束縛解除が必要であり、ミリ秒以下の時間スケールで誘発される同期した放出の際に見られるコンプレキシンとシナプトタグミン1の協調はこれで説明できる。

