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天文学:高赤方偏移スターバースト銀河の周りにある冷たい分子ガスの巨大な乱流リザーバー

Nature 548, 7668 doi: 10.1038/nature23298

星形成のピークにあるスターバースト銀河は、宇宙において最も極端な星形成の原動力の1つであり、約1億年にわたって星を形成する。こうした銀河の星形成率は1年当たり太陽質量の100倍を超え、星や活動銀河核からの強いフィードバックはあるものの、核に送達されることになる冷たい分子ガスの巨大なリザーバーが必要である。従って、スターバースト銀河は、このフィードバックと銀河の成長との間の相互関係を研究するのに理想的である。メチリジン陽イオンCH+は、超熱エネルギーの入力がなければ冷たいガス中では作られず、その存在は力学的なエネルギーの散逸か、強い紫外線照射を示しているので、こうした研究に最も有用な分子である。本論文では、6つの重力レンズ効果を受けた、赤方偏移が約2.5のスターバースト銀河のスペクトル中に、CH+J = 1–0)の輝線と吸収線を検出した結果を報告する。この線は、励起に対する臨界密度が非常に高いので、非常に高密度のガスにおいて放射され、低密度ガスでは吸収される。我々は、秒速1000 kmよりも広いCH+の輝線が、温かい銀河風によって駆動される高密度の衝撃波に由来することを見いだした。CH+の吸収線からは、冷たい(約100 K)、低密度ガスのリザーバーが激しい乱流状態にあり、半径1キロパーセク未満のスターバースト銀河の外に10キロパーセク以上にわたって広がっていることが明らかになった。我々は、銀河風が、銀河の10キロパーセクスケールの環境内での乱流を維持し、こうした環境を、重力的に束縛された段階の異なる複数のリザーバーにしていることを示す。しかし、質量流出率は、星生成率と釣り合うには不十分であることが分かった。それゆえ、こうしたリザーバーには別の質量流入が必要であり、合体しつつある他の天体か冷たいガス流降着によって供給されている可能性がある。今回の結果は、銀河のフィードバックが乱流や重力と一緒に合わさって、銀河のスターバースト段階を終束させるのではなく引き延ばしていることを示唆している。

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