免疫学:m6A mRNAメチル化はIL-7/STAT5/SOCS経路を標的としてT細胞恒常性を制御する
Nature 548, 7667 doi: 10.1038/nature23450
N6-メチルアデノシン(m6A)は、最も一般的で豊富なメッセンジャーRNAの修飾であり、この標識の「書き込み因子(writer)」、「消去因子(eraser)」そして「読み取り因子(reader)」によって調節される。in vitroのデータは、m6AがmRNA代謝(主にはmRNAの安定性)の基本的側面の全てに影響して幹細胞運命を決定することを示している。しかしながら、哺乳類および成体哺乳類細胞におけるin vivoでのその生理学的機能はまだ不明である。今回我々は、マウスT細胞においてm6A「書き込み」タンパク質METTL3を除去すると、T細胞恒常性と分化に異常が生じることを示す。リンパ球減少マウスの養子移入モデルにおいて、Mettl3欠損ナイーブT細胞は恒常的増殖を行うことができず、12週までナイーブな状態を保ち、その結果、大腸炎は発症しなかった。これらの知見と一致して、STATシグナル伝達阻害タンパク質SOCS1、SOCS3およびCISHをコードするSOCSファミリー遺伝子のmRNAは、Mettl3欠損ナイーブT細胞においてはm6Aによって標識されており、mRNA分解がより遅く、mRNAとタンパク質発現レベルの増加を示した。この増加したSOCSファミリー活性は、結果的にIL-7を介したSTAT5活性化とT細胞の恒常的増殖および分化を阻害した。我々はまた、ナイーブT細胞を増殖と分化へ再プログラム化するために、IL-7シグナル伝達に応じたSocs mRNAの誘導性分解にm6Aが重要な役割を果たすことを見いだした。我々の研究は、我々の知る限り初めて、T細胞を介した発病機構におけるm6A修飾のin vivoでの生物学的役割を解明し、またT細胞恒常性とシグナル依存的なmRNA分解の誘導の新規機構を明らかにしている。

