Letter
天文学:赤色超巨星アンタレスにおける活発な大気運動
Nature 548, 7667 doi: 10.1038/nature23445
赤色超巨星は、進化の最終段階にある太陽質量の約9倍よりも重い恒星であり、複雑な多成分大気を持っている。干渉計を用いた撮像観測から、明るい斑点が赤色超巨星の大気中に検出されている。赤色超巨星の光球面の上には、外層の分子大気が恒星半径の2倍程度まで広がっている。さらに、赤色超巨星の熱い彩層(5000~8000 K)と冷たいガス(3500 K未満)が恒星半径の約3倍の所で共存している。このような複雑な大気のダイナミクスは、紫外線や可視光の分光によって調べられてきた。しかしもっと直接的な方法は、太陽の観測のように、星の画像上のそれぞれの位置でガス速度を測ることである。本論文では、近傍の赤色超巨星アンタレスの表面と大気の速度場のマッピングを報告する。我々の近赤外分光干渉計撮像観測から得られた二次元速度場マップからは、いくつかの巨大なガス塊が大気中で秒速−20 kmから+20 km程度の速度で活発に上昇・下降する運動が明らかになり、それらは恒星半径の約1.7倍まで広がっている。観測された乱流運動や大気の広がりは、対流現象だけでは説明することはできず、広がった大気においてまだ特定されていない過程が働いていることを示唆している。

