免疫学:黒色腫患者のための免疫原性を持つ個別化ネオアンチゲンワクチン
Nature 547, 7662 doi: 10.1038/nature22991
ヒトでの効果的な抗腫瘍免疫は、がんネオアンチゲンを標的とするT細胞の存在と関連している。がんネオアンチゲンとは、腫瘍特異的変異から生じるHLA結合ペプチドの一群である。ネオアンチゲンは正常組織には存在しておらず、胸腺の中枢性寛容を回避するため、免疫原性が非常に高い。ネオアンチゲンは長い間、抗腫瘍免疫応答のための最適な標的として考えられてきたが、その体系的な発見と評価は、腫瘍でのコード領域の全変異を検出する大規模並列塩基配列解読解析、およびそれらの変異ペプチドと自家ヒト白血球抗原(HLA)分子の高親和性結合を高い信頼性で予測できる機械学習法が最近利用可能になったことで、ようやく現実的になった。我々は、ネオアンチゲンを用いたワクチン接種が、がん患者において、既存のネオアンチゲン特異的T細胞集団の拡大と、よりレパートリーの広い新たなT細胞特異性の誘導の両方を可能にし、腫瘍内バランスを腫瘍制御に有利に傾けるという仮説を立てた。今回我々は、20種類に及ぶ、予測された個別化腫瘍ネオアンチゲンを標的とするワクチンについて、その実現可能性、安全性および免疫原性を実証する。ワクチンが誘導した多機能性CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞は、さまざまな患者に対して用いた97種の独特なネオアンチゲンのうち、それぞれ58種(60%)および15種(16%)を標的とした。これらのT細胞は、野生型抗原と変異型抗原とを識別し、自家腫瘍を認識することもあった。ワクチンを接種した6人の患者のうち、4人はワクチン接種後25か月間再発しなかった。一方2人は再発したが、その後に抗PD-1(programmed cell death-1)療法を受けたことで腫瘍が完全退縮し、これにはネオアンチゲン特異的なT細胞レパートリーの拡大を伴っていた。これらのデータは、こうした手法について、単独療法として、あるいはチェックポイント阻害や他の免疫療法との併用療法として開発を進めるための、強い論理的根拠となる。

