Letter
有機化学:内部アルケンの触媒的アリル位酸化による多官能性キラルビルディングブロックの合成
Nature 547, 7662 doi: 10.1038/nature22805
炭化水素の立体選択的酸化は、合成化学におけるこの50年間で最も注目すべき進歩の1つである。自然から着想を得て、エナンチオ選択的なジヒドロキシル化やエポキシ化などの不飽和炭化水素の酸化が開発されてきた。最近では、アルケンの触媒的エナンチオ選択的アリル位炭素–水素酸化によって、医薬品、天然物、精密化学品などの機能性物質の生産が効率化されている。アリル位官能基化によって、さらなる化学合成用のハンドルとしてのオレフィン官能性を維持したまま、立体中心を新たに形成したキラルビルディングブロックを石油化学原料から合成する直接的な経路が得られる。環状二重結合もしくは末端二重結合を持つ単純なアルケンのエナンチオ選択的アリル位炭素–水素酸化向けに、さまざまな金属系触媒が発見されてきた。しかし、よりありふれた内部アルケンを用いる、一般的かつ選択的なアリル位酸化は、依然として実現が困難である。今回我々は、カルコゲン系酸化剤との触媒的ヘテロエン反応による、活性化されていない内部アルケンのエナンチオ選択的、位置選択的、E/Z選択的なアリル位酸化について報告する。今回の方法によって、高い立体選択性と位置選択性で、非対称な内部アルケンをアリル位官能基化生成物に選択的に変換できる。また、生成した多官能性のキラルビルディングブロックの立体特異的変換を行うことで、内部アルケンを、複雑なターゲット分子の合成に使用できるエナンチオリッチなさまざまな構造に迅速に変換できる可能性があることを明らかにする。

