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ウイルス学:CD32aは複製可能プロウイルスを含んだCD4 T細胞HIVリザーバーのマーカーである

Nature 543, 7646 doi: 10.1038/nature21710

HIVリザーバーが感染患者の体内に存在し続けることは、HIVの根治療法開発のための主な障害の1つとなっている。今回我々は、HIVに感染した静止期CD4 T細胞のin vitroモデルを使って、潜伏感染細胞に特異的な103の発現上昇遺伝子の遺伝子発現シグネチャーを明らかにする。これらの遺伝子には16の膜貫通タンパク質の遺伝子が含まれる。HIV感染静止期CD4 T細胞での表面発現をin vitroスクリーニングしたところ、免疫グロブリンG Fc断片の低親和性受容体であるCD32aは最も高度に誘導されているが、バイスタンダー細胞では検出可能な発現が見られなかった。特に、T細胞受容体を刺激したCD4 T細胞の生産的HIV-1感染はCD32a発現と関連しないことは重要であり、静止期依存的な機構がその誘導に必要であることが示唆される。抑制性抗レトロウイルス療法を受けているHIV-1陽性の参加者由来の血液試料を用いて、我々は、CD4 T細胞の0.012%に当たる亜集団がCD32aを発現し、細胞当たり3コピーまでのHIV DNAを有することを見いだした。このCD32a+リザーバーは、誘導性の複製可能プロウイルスを非常に豊富に含み、一部の参加者ではCD32a+細胞がリンパ球の大半を占めている。CD32a+リンパ球が今までよく分からなかったHIV-1リザーバーであるという我々の発見は、このリザーバーを特異的に標的として除去を促す手掛かりにつながるかもしれない。

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