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古生物学:恐竜の類縁関係と初期進化に関する新仮説
Nature 543, 7646 doi: 10.1038/nature21700
恐竜は130年にわたり、「鳥盤目」と「竜盤目」という2つの独立したクレードに分類されてきた。今回我々は、恐竜の主要な分類群の系統発生的な類縁関係についての新たな仮説を示す。この仮説は、恐竜の初期進化に関する現在の共通認識に異を唱え、現行の分岐分類学の定義の問題点を浮き彫りにするものである。本研究では、鳥盤目と獣脚亜目とが姉妹群関係にあり(これらを統合して新たなクレードOrnithoscelidaに分類する)、竜脚形亜目とヘレラサウルス科は単系統の外群を形成する(これを竜盤目として再定義する)ことが明らかになった。この新しい系統樹の樹形では、恐竜上目およびその下位クレードについて、定義および標徴の見直しが必要となる。この系統樹はさらに、恐竜の初期の分岐進化および形質進化の再評価を余儀なくさせるものであり、純肉食化がヘレラサウルス類と獣脚類で別々に起きたことを示唆するとともに、これまでは収斂進化の顕著な例と見なされてきた獣脚類と初期の鳥盤類との間に共通して見られる多くの解剖学的特徴についての説明にもなる。

