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物性物理学:単一ナノキューブにおける振動の表面モードとバルクモードのマッピング

Nature 543, 7646 doi: 10.1038/nature21699

ナノ構造体とその近傍における振動励起の画像化は、低損失赤外ナノフォトニクスの開発、熱ナノデバイスにおける熱輸送の制御、新しい熱電材料の開発、ナノスケールのエネルギー輸送の解明に不可欠である。ナノ構造体のプラズモン挙動は、空間分解電子エネルギー損失分光法を用いて電子顕微鏡ですでに画像化されているが、これまで単一のナノ構造体の振動モードを直接マッピングできなかったため、光子やプラズモンとフォノンとの結合に関する我々の理解には限界があった。本論文では、原子幅の電子ビームを使って、酸化マグネシウムナノキューブのバルクと表面における光学モードと音響モードの振動を空間的にマッピングした結果を示す。我々は、表面ポラリトンフォノンモードのエネルギーと対称性が、ナノキューブのサイズに依存し、このモードがナノキューブの表面に局在していることを見いだした。また、表面フォノンモードが存在する場合、バルクフォノン散乱が制限されることも観測した。フォノン分光法の大半は、表面励起かバルク励起のいずれかに選択的に敏感である。従って、単一プローブを使ったバルク振動モードと表面振動モードの両方の励起を実証した今回の研究は、ナノ構造体における空間的に閉じ込められた表面フォノンとバルクフォノンの検出と可視化を前進させるものである。

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