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発生生物学:DND1はCCR4–NOT複合体を標的mRNAへ誘導することで生殖幹細胞を維持する

Nature 543, 7646 doi: 10.1038/nature21690

脊椎動物で保存されているRNA結合タンパク質DND1は、始原生殖細胞(PGC)の生存や、マウスでの胚細胞腫瘍の抑制に必要である。本研究で我々は、マウスにおいてDND1は、主にmRNAの3′非翻訳領域のUU(A/U)トリヌクレオチドモチーフに結合し、CCR4–NOTデアデニラーゼ複合体を直接誘導することで、標的mRNAを不安定化することを示す。トランスクリプトーム解析では、抑制の程度はDND1結合部位の数に依存していることが分かった。このDND1依存的なmRNAの不安定化は、アポトーシスを抑制することで、マウスのPGCや精原幹細胞の生存に必要とされる。この標的RNAの範囲には、アポトーシスや炎症に対する正の調節因子や、TGFβスーパーファミリーなどの幹細胞多能性を調節するシグナル伝達経路のモジュレーターが含まれ、これらはいずれもDND1欠損PGCにおいて異常に増加している。転写後抑制因子DND1の誘導は、同時に起こる転写変化と相乗的に働いて、細胞分化や生殖系列の維持の際に適切な発生の正確な推移を確実にしていると考えられる。

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