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神経科学:自閉症関連遺伝子Ube3aとてんかん発作はVTAでCbln1を抑制することにより社会性を低下させる

Nature 543, 7646 doi: 10.1038/nature21678

母性遺伝した染色体15q11–13領域の三重複は、転写共調節機能を持つユビキチンリガーゼをコードするUBE3Aの遺伝子量の増加に関連した、浸透率の高いよく見られるタイプの自閉症を引き起こす。本研究で我々は、in vivoでマウスに遺伝学的手法を用い、核内でのUBE3Aの増加が、マウスの社会性に必要とされるグルタミン酸作動性シナプス形成因子Cbln1の発現を低下させることを示す。てんかん発作もCbln1を抑制し、UBE3Aの増加に伴う症状は示さないマウスで社会性障害を引き起こすことが分かった。このUbe3aとてんかん発作の相乗効果は、中脳の腹側被蓋野(VTA)のグルタミン酸ニューロンに起因する。VTAでCbln1が欠失すると社会性が障害され、グルタミン酸作動性の神経伝達が減弱する。我々は、ウイルスベクターを用いて、VTAのグルタミン酸作動性ニューロンで化学遺伝学的にCbln1を活性化または復元させると、Ube3aや発作により誘導された社会性低下が回復するという前臨床的証拠を示す。我々の結果は、VTAのグルタミン酸作動性ニューロンにおける遺伝子と発作の相互作用が、自閉症遺伝子の拡大したタンパク質相互作用ネットワークの重要なノードに当たるCbln1の発現低下により社会性を障害することを示唆する。

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