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植物科学:根の微生物相はリン酸ストレスと免疫を直接結び付ける
Nature 543, 7646 doi: 10.1038/nature21417
植物は多様な微生物相を含んだ、生物地球化学的に多様な土壌で生育している。植物の器官はこれら微生物の一部と密接に関係しており、微生物群集の構造は土壌中の栄養分によって変化し得る。植物共生微生物は、植物と、あるいは微生物間で栄養を巡り競争し得るが、同時に植物の生産性を高める形質を持っている可能性もある。しかし、植物の免疫系が、マイクロバイオームの形成過程で微生物の認識と栄養刺激をどのように連携させているのかは分かっていない。今回我々は、リン酸ストレス応答を調節する遺伝的ネットワークが、ストレスではないリン酸条件においても根のマイクロバイオームの構造に影響を与えることを証明する。我々は人工の細菌群集の存在下で、栄養と防御の間の協調を調節する分子機構を明らかにした。さらに、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)におけるリン酸ストレス応答のマスター転写調節因子も防御応答を直接抑制することを示し、これは植物が防御応答より栄養ストレス応答を優先させることと合致する。我々の研究は、植物の性能を向上させる上で有用な微生物を明らかにし、利用するための取り組みを促進するだろう。

