材料科学:等方的な弾性スティフネスの理論限界にあるメカニカル・メタマテリアル
Nature 543, 7646 doi: 10.1038/nature21075
多種多様な高性能用途では、大きな応力の下で形状制御が維持され、しかも密度が最低限の材料が必要とされる。生物に着想を得た六角形や正方形のハニカム構造体や、ウェブやトラスで構成される繰り返し単位胞を基本にした格子材料は、弾性スティフネスが高く密度が低い材料からなる場合、今日得られる最も軽く、最も剛性が高く、最も強い材料の代表である。最近の3D印刷や自動組み立ての進歩によって、そうした複雑な材料形状を安価に作製できるようになった(そしてますます安価になっている)。こうしたメカニカル・メタマテリアルは、その構成成分だけでなくメソスケール形状からくる機能も特性として持つため、固体材料では得られない特性を併せ持つ。しかし、等方的な弾性とひずみエネルギー貯蔵の理論的上限(Hashin–Shtrikmanの上限)を達成する材料形状は、まだ確認されていない。今回我々は、選択した代表的な材料形状において荷重の下でひずみエネルギーが分布する様子を評価し、高い弾性性能に関係する形態的特徴を明らかにした。また、我々は、解析的方法によって裏付けられた有限要素モデルと、発見法的最適化方式を用いて、等方的な弾性スティフネスについてHashin–Shtrikmanの上限を達成する材料形状を特定した。これまでの研究は、トラスネットワークや非等方的なハニカムに重点が置かれていたが、どちらもこの理論限界を達成することはできない。我々は、近接部材間で効率よく荷重を伝達させるには、高剛性だが良好に分布した板のネットワークが必要であることを見いだした。今回得られた低密度メカニカル・メタマテリアルには、多くの有利な特性があり、メソスケール形状によって、高いエネルギー吸収を伴う大きな粉砕ひずみ、光学バンドギャップと機械的に調節可能な音響バンドギャップ、高い断熱性、浮力、流体の貯蔵や輸送などの特性を容易に得ることができる。今回の設計は比較的単純なので、折り紙のようにシートを折り畳む方法や接着法を用いて作製できる。

