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生態学:地球温暖化と繰り返すサンゴの大規模白化
Nature 543, 7645 doi: 10.1038/nature21707
2015~2016年に、記録的な高温によって引き起こされた熱帯全域に及ぶサンゴの白化現象は、1980年代にサンゴの大規模白化が初めて記録されて以来3度目となる全球規模の白化事象である。今回我々は、オーストラリアのサンゴ礁の航空機観測および水中観測のデータと、衛星観測による海面水温のデータとを組み合わせて用い、繰り返すサンゴの大規模白化事象の深刻度が複数のスケールでなぜ、どのように異なっていたかを検証する。グレートバリアリーフで1998年、2002年および2016年に繰り返し起きた白化の特徴的な地理的分布が、各年の海水温の空間パターンによって明らかになった。2016年に発生した前例のないサンゴの大規模白化に対する水質および漁獲圧の影響はごく軽微であり、これは、サンゴ礁の局地的な保護が、極端な高温に対してほとんどあるいは全く抵抗性をもたらさないことを示唆している。同様に、1998年および2002年に白化が起こったサンゴ礁でも、2016年の白化の深刻度が緩和されることはなかった。従って、サンゴ礁の未来を確保するには、将来の温暖化を抑制するための世界規模の速やかな行動が不可欠である。

