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生理学:骨由来リポカリン2によるMC4R依存的な食欲抑制

Nature 543, 7645 doi: 10.1038/nature21697

最近、骨は多機能性の内分泌器官であることが明らかとなってきており、腎機能を調節するFGF23とグルコース恒常性を調節するオステオカルシンの、少なくとも2つのホルモンを分泌する。これらの知見から、他にも骨由来ホルモンが存在するのか、それらはどのような機能を持つのか、という疑問が生じる。今回我々は、マウスにおける分子的および遺伝学的解析により、リポカリン2(LCN2)が、骨芽細胞に高発現していて、骨芽細胞から分泌されるタンパク質であることを明らかにする。マウスでの機能喪失および機能獲得実験では、骨芽細胞由来LCN2がインスリン分泌を誘導することでグルコース恒常性を維持し、耐糖能とインスリン感受性を向上させることが分かった。さらに、骨芽細胞由来LCN2は食物摂取を抑制する。LCN2は血液脳関門を通過し、視床下部の脳室周囲や腹内側のニューロンでメラノコルチン4受容体(MC4R)に結合し、MC4R依存的な食欲抑制経路を活性化する。以上の結果は、LCN2がMC4R依存様式で食欲を抑制する代謝調節機能を持つ骨由来ホルモンであることを明らかにしており、食欲制御は骨の内分泌機能の1つであることを示している。

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