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細胞生物学:SZT2はmTORC1シグナル伝達のGATOR制御を指示する

Nature 543, 7645 doi: 10.1038/nature21378

真核生物では、mTORC1(mechanistic target of rapamycin complex 1)が栄養シグナルを統合して細胞の増殖や個体の恒常性を制御する。進化的に保存されたGATOR複合体は、Rag GTPアーゼを介してmTORC1シグナル伝達を調節し、GATOR1はRAGAおよびRAGB(RAGA/B)に対してGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)として働き、GATOR2はGATOR1の抑制因子だと考えられている。また、後生動物特異的SESNタンパク質は、RAGA/Bに対するグアニンヌクレオチド解離阻害因子(GDI)として機能し、GATOR2と相互作用するが、その効果は明らかになっていない。今回我々は、てんかんにおいて変異が見られる後生動物特異的タンパク質SZT2(seizure threshold 2)が、哺乳類のGATOR1およびGATOR2の一部を動員して、SOG(SZT2-orchestrated GATOR)複合体を形成し、このSOGがGATORおよびSESNに依存的な栄養の感知やmTORC1の調節に不可欠な役割を担っていることを示す。SZT2のGATOR1およびGATOR2との相互作用は相乗的で、完全なSOG複合体がリソソームへの局在に必要であった。SZT2の欠損は、細胞では栄養枯渇条件下での構成的なmTORC1シグナル伝達を引き起こし、マウスでは新生仔の致死を引き起こした。これは絶食時にmTORC1を不活化できないことに関連したものである。SZT2欠損細胞でのmTORC1の過剰活性化は、GATOR1構成因子DEPDC5の過剰発現や、GATOR2構成因子WDR59あるいはSESN2のリソソームを標的とした発現により、部分的に修正できた。これらの知見は、SZT2がSOGのリソソームへの局在を促進することで、GATOR依存的な栄養感知の指示に中心的な役割を担っており、リソソームに位置するGATOR2がSESNを動員することでmTORC1シグナル伝達の抑制に予想外の機能を担っていることを明らかにしている。

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