Letter

構造生物学:混合・注入XFEL連続結晶構造解析によって得られたリボスイッチRNAの各反応段階の構造

Nature 541, 7636 doi: 10.1038/nature20599

リボスイッチはRNA構造エレメントで、一般にメッセンジャーRNAの5′非翻訳領域に存在する。遺伝子発現の調節の際には、リボスイッチのアプタマードメインへのリガンドの結合が引き金となって下流の発現系へとシグナルが伝わる。この機構の構造基盤を完全に理解するには、構造変化を経時的に調べる方法が必要である。今回我々は、フェムト秒X線自由電子レーザー(XFEL)パルスを使い、結晶を非常に小さくして、回折の前に反応が開始されるようにリガンド拡散のタイミングを設定し、結晶の構造測定を行った。そして、アデニンリボスイッチのアプタマードメインについて、反応の進行過程で生じる4つの構造を決定することで、この方法を実証した。これらの構造のうちの2つはリガンドが結合していないアポ型構造で、1つはリガンドが結合している中間体、もう1つはリガンドが結合した最終的なコンホメーションである。これらの構造は、少なくとも4つの状態が関与する反応機構モデルを裏付けており、シグナル伝達の構造基盤を明らかにしている。2つのアポ型配座異性体のT字型の接続部分とP1スイッチヘリックスは、リガンド結合型コンホメーション中の状態とは大きく異なっている。我々の10秒遅れの時間分解結晶構造測定では、リガンドが入る結合ポケットに変化が生じた中間体の構造が捉えられた。最短でも10分の遅れがあると、RNA分子はリガンド結合状態に完全に変わってしまい、かなり大きなコンホメーション変化が起こって空間群が変化した。in crystalloで起こるこのような顕著な変化は、マイクロ結晶やナノ結晶が今回の方法や同様の時間分解回折研究に重要な役割を果たす可能性をはっきり示している。まとめるとこれらの結果は、生体高分子とリガンドの間の生化学的に重要な相互作用を、大規模なコンホメーション変化が起こるものも含めて調べる際に、この「混合・注入(mix-and-inject)」時間分解連続結晶解析法が有望であることを実証するものだ。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度