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創薬:オルソステリックおよびアロステリックなアンタゴニストと結合したCCケモカイン受容体2の構造

Nature 540, 7633 doi: 10.1038/nature20605

CCケモカイン受容体2(CCR2)は、クラスA ヒトGタンパク質共役受容体のケモカイン受容体サブファミリーに属する19のメンバーの1つである。CCR2は単球、未成熟樹状細胞およびT細胞の一部集団で発現され、これらの細胞がCCL2のような内因性CCケモカインリガンドの所へ移動するのを仲介している。CCR2とそのリガンドは、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、喘息、神経障害性疼痛、糖尿病性腎症などの多くの炎症性疾患や神経変性疾患だけでなく、がんにも関わっている。これらの疾患との関連がきっかけとなって、CCR2–ケモカイン経路を標的とした治療法を探索する多数の前臨床研究や臨床試験(http://www.clinicaltrials.gov参照)が行われている。我々は創薬に向けた取り組みを支援するために、オルソステリックなアンタゴニスト(BMS-681)とアロステリックなアンタゴニスト(CCR2-RA-[R])との三者複合体を形成しているCCR2の構造を明らかにした。BMS-681は、これまでに知られていなかった結合様式で、受容体のオルソステリックなポケットを占拠し、ケモカインの結合を阻害する。CCR2-RA-[R]は新薬開発につながる可能性の高い新規ポケットに結合する。この部位は、クラスAのGタンパク質共役受容体でこれまで見つかった中で最も細胞質側に位置しているアロステリック部位であり、相同な受容体で知られているGタンパク質結合部位と空間的に重複する。CCR2-RA-[R]は、活性化に関連したコンホメーション変化とGタンパク質結合面の形成を妨げることで、CCR2を非競合的に阻害する。これら2種類のアンタゴニストが結合したCCR2で見られる、保存されたマイクロスイッチ残基のコンホメーションのシグネチャーは、これまでに明らかにされた中で最も不活性化度の高いGタンパク質共役受容体の構造と似ている。他のタンパク質間相互作用と同じく、受容体–ケモカイン複合体は小型分子の治療標的とすることは難しいと考えられているが、今回示した構造は、薬剤設計の際の障害を乗り越えるために利用できる可能性のある多様なポケットエピトープを示唆するものである。

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