細胞生物学:ミトコンドリア分裂はダイナミンファミリーの複数の因子の協働により進められる
Nature 540, 7631 doi: 10.1038/nature20555
ミトコンドリアはde novoに作り出すことはできない。有糸分裂の際にミトコンドリアがそれぞれの娘細胞に受け継がれるには、ミトコンドリアは成長し、自身のゲノムを複製し、分裂しなくてはならない。ミトコンドリアの分裂は、膜の形態の相当規模のリモデリングを必要とするため、構造的に難しい。分裂に関わる因子は生物によって異なるものの、切断の起こる箇所での複数の段階に分けて行われる膜の引き絞りとダイナミン関連タンパク質Drp1(酵母ではDnm1)の必要性は保存されている。哺乳類細胞では、ミトコンドリアの分裂は少なくとも2回の連続した引き絞り段階を経て進行することが示されている。この説は、まず小胞体とアクチンが協働して、ミトコンドリア外膜上にDrp1の集合に適した引き絞り部分を作り、次いでDrp1がさらに膜を引き絞って、ミトコンドリアの分裂が起こるというものである。しかし、Drp1は膜の切断を完了させるだけのダイナミックレンジを持たないことがin vitro実験で示されている。Drp1とは対照的に、ニューロン特異的な古典的ダイナミンであるダイナミン1(Dyn1)は、より狭い脂質構造に集合し、GTP加水分解による自発的な膜切断を促進することが示されている。本研究では、広範囲にわたって発現が見られる古典的ダイナミン2(Dyn2)が、ミトコンドリア分裂装置の基本的な構成因子であることを報告する。3種類の哺乳類細胞株での生細胞画像化法と電子顕微鏡法を組み合わせることで、Dyn2はDrp1と協調して働き、分裂に備えて起こる、連続的な膜の引き絞りを統御することが明らかになった。我々の研究は、Drp1の生物物理学的な限界をはっきりさせて、固有の膜分裂特性を持つDyn2がミトコンドリア分裂の最終段階で働いていることを明確に示している。

