生物地球化学:温暖化に応答する全球的な土壌炭素損失の定量化
Nature 540, 7631 doi: 10.1038/nature20150
地球の陸域炭素の大半は土壌に貯蔵されている。人為的温暖化によってこうした炭素の大気への損失が促進されるのであれば、地球がさらに温暖化する可能性がある。温暖化によって土壌への炭素フラックスと土壌からの炭素フラックスが増大するという証拠があるにもかかわらず、こうした応答の全球的な正味の収支はまだよく分かっていない。今回我々は、北米、ヨーロッパ、アジアにまたがる49か所の野外実験のデータを集めて、温暖化によって生じた土壌炭素貯蔵量の変化の、包括的な分析結果を提示する。我々は、温暖化の影響が初期の土壌炭素貯蔵量に左右され、高緯度域でかなりの損失が生じていることを見いだし、この経験的関係を全球スケールへ外挿して、温暖化に対する土壌炭素の感度を見積もった。この感度は、地球システムモデルの予測を絞り込むのに役立つ可能性がある。今回の経験的関係は、温暖化の影響が生じる速さに依存して、1°Cの気温上昇下で土壌上層の全球土壌炭素貯蔵量が30 ± 30 Pg炭素から203 ± 161 Pg炭素減少することを示唆している。温暖化に対する土壌炭素の応答が1年以内に生じると控えめに仮定すると、現状維持の気候シナリオでは、2050年までに55 ± 50 Pgの炭素が土壌上層から失われると予想される。この値は、この期間に予想される人為的排出量の約12~17%である。今回の推定にはかなりの不確かさがあるが、全球の土壌炭素の応答の向きは、全てのシナリオで一致している。この結果から、気温の上昇によって土壌炭素の大気への正味の損失が促進され、陸域炭素と気候の間の正のフィードバックを駆動して気候変動を加速させる可能性があるという考えに対する、強い経験的裏付けが得られる。

