Letter
素粒子物理学:高温格子量子色力学に基づいたアクシオン質量の計算
Nature 539, 7627 doi: 10.1038/nature20115
素粒子物理学の標準模型の電弱セクターとは異なり、量子色力学(QCD)は時間反転に対して極めて対称である。QCDがこれほど対称である明らかな理由はないため、この現象から、強いCP問題とよく呼ばれる理論的な問題が提起される。この問題の最も魅力的な解には、暗黒物質の有望な候補である新たな素粒子、アクシオンの存在が必要である。今回我々は、格子QCDを使い、アクシオンが暗黒物質の支配的な成分であると仮定して、アクシオンの質量を決定した。この計算で重要な量は、宇宙の状態方程式と、QCDのトポロジカル感受率の温度依存性である。この感受率は計算が難しいことがよく知られている量で、最も重要な高温領域(最高数ギガ電子ボルト)では特に難しい。しかし、真空をさまざまなセクターへ分割し、フェルミオン行列式を再定義すれば、トポロジカル感受率の制御された計算が実行可能になる。従って、我々の2つの要素からなる予測は、この状態方程式を使って初期宇宙の進化を記述する宇宙論的な計算の大半に役立ち、暗黒物質アクシオンを探索する実験の指針を左右する可能性がある。今後2~3年で、アクシオンの質量が今回予測したとおりかどうかによって、ポストインフレーションアクシオンが実験的に確かめられるか、除外されるはずである。また、プレインフレーションシナリオでは、今回の計算によって、我々の宇宙の初期条件に対応する普遍アクシオン角が決定される。

