Letter
物性物理学:量子気体における乱流カスケードの出現
Nature 539, 7627 doi: 10.1038/nature20114
乱流を現代的に理解する上で中心となる概念は、大きな長さスケールから小さな長さスケールへ、あるいはその逆も生じる励起カスケードの存在である。この概念が1941年にコルモゴロフとオブコフによって導入されて以降、励起カスケードは惑星間プラズマ、超新星、海洋波、金融市場を含むさまざまな系において観測されてきた。これまでの大きな進展にもかかわらず、多くの長さスケール間での相互作用が現実的な実験条件の理論シミュレーションを難しくすることから、乱流の定量的な理解はまだ困難である。今回我々は、弱く相互作用する均一なボース気体、すなわち、意義のある全ての長さスケールで理論的に記述できる量子流体において、乱流カスケードの出現を観測したことを報告する。我々は箱型光学トラップ中にボース・アインシュタイン凝縮体を準備し、その系を最大の長さスケールで励起する振動力によって非平衡状態へ駆動した。そして、周期的な駆動力への非線形応答を調べ、運動量空間の等方的べき乗則分布で特徴付けられるカスケードが徐々に発達するのを観測した。我々は、グロス–ピタエフスキー方程式を用いて今回の実験を数値モデル化し、測定結果と極めてよく一致することを見いだした。今回の実験結果は、一様なボース気体が、渦と波動乱流の相互作用を含む乱流の多くの側面や、量子効果と古典効果の相対的な重要性を調べるための有望な新媒質であることを立証している。

