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免疫抑制:単一細胞RNA-seqにより明らかにされたPD-1hi ILC前駆細胞とその発生経路

Nature 539, 7627 doi: 10.1038/nature20105

自然リンパ球(ILC)は抗原特異的受容体を持たないが、細胞傷害活性やサイトカイン産生においてTリンパ球に機能的に類似しており、免疫応答や組織恒常性の重要な調節因子である。ILCはリンパ球共通前駆細胞から生じ、続いてこの細胞からα-リンパ球前駆細胞、初期自然リンパ球前駆細胞、共通のヘルパー自然リンパ球前駆細胞、自然リンパ球前駆細胞の各区画において、自然リンパ球系譜へ運命拘束される。ILCは従来のナチュラルキラー細胞とヘルパー様の細胞(ILC1、ILC2、ILC3)から構成される。最近の進展にもかかわらず、ILC前駆細胞の細胞不均一性、発生過程、シグナル伝達の依存性はあまり解明されていない。今回我々は、マウス骨髄前駆細胞の単一細胞RNA塩基配列解読法(scRNA-seq)により、ILC前駆細胞のサブセットを明らかにし、それぞれ異なるILCの発生段階や発生経路の詳細を示し、またPD-1(programmed death 1)の高発現(PD-1hi)が運命拘束されたILC前駆細胞の標識であり、自然リンパ球前駆細胞と本質的に同一であることを報告する。我々のデータから、PD-1hiIL-25Rhiが、ILC2発生の初期のチェックポイントであり、ILC2発生はジンクフィンガータンパク質Bcl11bの欠損により喪失するが、IL-25Rの過剰発現で回復することが明らかになった。Tリンパ球と同様に、PD-1は活性化ILCで発現上昇していた。マウスのインフルエンザ感染モデルではPD-1抗体を投与することで、PD-1hi ILCが失われてサイトカインレベルが低下し、またパパイン誘導性の急性肺炎症も阻止された。これらの結果は、免疫療法においてPD-1とそのリガンド(PD-L1)を調べることが有効である可能性と、疾患の予防と治療のために免疫系を効果的に操作できることを示している。

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