Letter

構造生物学:真核細胞V-ATPアーゼの膜に埋め込まれたVOモーターの原子モデル

Nature 539, 7627 doi: 10.1038/nature19828

液胞型ATPアーゼ(V-ATPアーゼ)は、ATPをエネルギー源とするプロトンポンプで、エンドサイトーシスやリソソーム分解、二次性輸送、TORシグナル伝達、破骨細胞や腎臓の機能などの過程に関与している。可溶性の触媒V1領域でのATP加水分解により、膜に埋め込まれたVO領域を通過するプロトン輸送がローターサブ複合体の回転を介して駆動される。無傷状態の酵素の構造が多様であることが、どの回転ATPアーゼの膜に埋め込まれたモーターにも使える原子モデル構築を妨げてきた。我々は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)を飢餓状態にすることでV-ATPアーゼのV1領域とVO領域の解離と自己阻害を誘導し、VO複合体の約3.9 Å分解能での低温電子顕微鏡像を得て、そのサブユニットの多くについて原子モデルを構築できた。その解析から、サブユニットac8c′c″ deと、我々が明らかにし新規サブユニット(サブユニットf)と提案するタンパク質の構造が明らかになった。サブユニットaとcリングの間の大きなキャビティにより、プロトン通過のためのチャネルの細胞質側の半分が形成されている。cリングではプロトンを輸送するGlu残基が非対称的に分布していて、サブユニットc″のGlu残基がサブユニットaのArg735と相互作用している。この構造から、ATP加水分解により駆動される回転によって細胞質側の半チャネルでGlu残基のプロトン化が起こり、それに続いて液胞内腔側の半チャネルでのGlu残基が脱プロトン化されるという、cリングで連続して起こるプロトン化と脱プロトン化が考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度