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構造生物学:X線レーザーを用いたde novo位相決定により明らかになった、蚊に効果のある殺幼虫物質BinABの構造

Nature 539, 7627 doi: 10.1038/nature19825

天然に存在する準結晶のBinABは殺幼虫効果があり、蚊によって伝播され甚大な被害をもたらす疾病に対処するために世界中で使われている。この結晶は相同な分子であるBinAとBinBからなり、この2つは多段階からなる中毒過程で別々の役割を担っている。この過程でBinABは、無害でロバストな結晶から可溶性のプロ毒素であるヘテロ二量体になり、さらに体内に取り込まれて成熟型の毒素となってから、最終的に多量体からなる毒性の小孔に形を変える。BinABの結晶は平均して1辺当たり50単位胞という小さいサイズであることが、通常の方法での構造解明を妨げてきた。今回我々は、桿菌の一種のLysinibacillus sphaericus由来のBinABの構造を、X線自由電子レーザーを使い連続フェムト秒結晶構造解析の手法によってde novoで解いた。その構造から、チロシンとカルボン酸が関わる接触がpHスイッチとして作用し、可溶性のプロ毒素をアルカリ性の幼虫中腸内に放出させることが明らかになった。受容体に結合したBinBへBinAが係留されて2つが一緒に取り込まれるのには、広いヘテロ二量体界面が関与しているように見える。この界面が主にプロペプチドで構成されていて、タンパク質分解による成熟がヘテロ二量体の解離を引き起こし、小孔形成へと進むと考えられることは注目すべきである。

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