Letter

触媒:水素化反応の選択性調節剤としての金属有機構造体

Nature 539, 7627 doi: 10.1038/nature19763

天然原料が入手しにくいことから、香料業界や医薬品業界における不飽和アルコールの広範な需要は、炭素–炭素基よりも炭素–酸素基を選択的に水素化する反応を通して、α,β-不飽和アルデヒドから不飽和アルコールを製造することによって満たされている。しかし、炭素–炭素基の水素化の方が熱力学的に有利なので、こうした変換向けの効果的な触媒を開発することは困難である。この難題は、不均一触媒の1つの主要カテゴリー、すなわち金属酸化物に担持された金属ナノ粒子に特に関係している。こうした系では、一般的に、熱力学的に不利な反応に対する選択性を顕著に向上させることができない。これは、金属酸化物担体に直接接したナノ粒子の端部のみに選択的な触媒特性があり、露出したナノ粒子表面の大部分にはそうした特性がないからである。この問題に端を発し、金属有機構造体(MOF)を用いてMOFの層内やチャネル内に金属ナノ粒子を封入して、MOFの多孔性に起因する反応物と生成物の高効率輸送を維持したままナノ粒子表面全体の活性に影響を与える試みが行われるようになった。今回我々は、MOFがα,β-不飽和アルデヒドの水素化の効果的な選択性調節剤としても機能し得ることを示す。Fe3+、Cr3+、またはFe3+とCr3+両方のノードを持つMOF(MIL-101として知られる)で構成される内側のコアと外側のシェルの間に白金ナノ粒子を挟むことによって、さまざまなα,β-不飽和アルデヒドを、高い効率と著しく高い選択性で不飽和アルコールに変換する安定な触媒が得られた。計算から、MOFの金属サイトが炭素–炭素基よりも炭素–酸素基と選択的に相互作用するため、MOFに埋め込まれた白金ナノ粒子による炭素–酸素基の水素化が熱力学的に有利な反応になることが明らかになった。我々は、今回の基本的な設計戦略によって、重要だがまだ困難な変換向けの他の選択的水素化触媒も開発できるようになると予想する。

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