社会学:女性性器切除に対する文化的姿勢を変える
Nature 538, 7626 doi: 10.1038/nature20100
グローバル化によって相いれない姿勢を持つ人々が接触するようになると、必然的に文化的な対立が起こる。対立を緩和する方法や、対立が起こることによって関与するグループの文化的な進化がどのように形作られ得るかついてはほとんど分かっていない。女性性器切除はその顕著な例である。政府や国際機関は数十年にわたり女性性器切除の廃止を促しているが、この慣例はいまだに広く行われており、数百万人の少女や女性の健康リスクと関連している。国際機関による切除廃止の取り組みでは、切除は地域的に普及してしっかり根付いているという考え方がなされることが多い。つまり、その地域の文化の外から、価値観や期待を導入する必要があるということである。対象社会の構成員は、このような介入を不快な押し付けと考えるかもしれず、また、切除廃止を促す運動は反発を招くことがあり、それは切除が普遍的な人権を侵害するという信念を文化的に容認することが困難だからである。しかし切除は、必ずしも地域的に普及してしっかり根付いているわけではない。我々は、切除が行われている社会内に、対立する姿勢が存在することを利用して、文化を変える実験を設計した。4本の娯楽映画を製作してそれらをスーダンでの2つの実験において実験的なシナリオとして用い、また、切除についての姿勢を非影響測定する潜在連合テスト(implicit association test)を開発した。これらの映画では、切除は地域的に普及しているという考え方をしておらず、ある大家族のメンバーが、自分たちの家族が切除を続けるべきかどうかについてさまざまな意見をぶつけ合うというドラマになっている。これらの映画は切除を受けていない少女に対する姿勢を顕著に改善し、中でも特に1本の映画の影響の持続性は、比較的高かった。今回の結果は、地域の人々の考え方が一様ではないことをドラマ化した娯楽作品を用いることで、応用文化的な進化の基盤を、文化間の分裂を強調することなく提供できることを示している。

