Letter

量子物理学:同時測定された非可換オブザーバブルの量子ダイナミクス

Nature 538, 7626 doi: 10.1038/nature19762

量子力学では、測定によって波動関数の収縮が生じ、正確な結果が得られるが、位置と運動量などの非可換オブザーバブルに対しては、ハイゼンベルクの不確定性原理によって状態固有の精度が制限される。理論的研究では同時非可換測定が可能であると証明され、測定結果に対する限界が明らかにされたが、量子状態のダイナミクスが検討されるようになったのはつい最近である。我々は、この未開拓領域を実現するため、非可換オブザーバブルの2つの連続な量子非破壊プローブを、超伝導キュービットに同時に適用した。我々は、キュービットと複数の共振器モードWO結合させることで、複数の読み出しチャネルを実装した。測定オブザーバブルを制御するため、キュービットを駆動し、オブザーバブルを定める相対位相で共振器サイドバンドを適用して、「単一直交位相」測定を実行した。本論文ではこの方法を用いて、不確定性原理が、測定によって生じる擾乱に下限を課すことで波動関数のダイナミクスを支配することを示す。その結果、同じオブザーバブルの測定から非可換オブザーバブルの測定へと遷移するにつれて、そのダイナミクスは標準的な波動関数の収縮から、局在した永久拡散、等方的な永久拡散へと滑らかに遷移した。この状態発展は、従来型の測定の発展と著しく異なるが、両方の非可換オブザーバブルに関する情報は測定記録の時間順序を追跡することで抽出でき、測定を切り替えることなく量子状態トモグラフィーを実現できる。今回の研究から、量子状態の高速な純粋化、適応測定、測定に基づく量子状態操作や連続的量子誤り訂正を含む、量子制御の新しい可能性が生まれる。物理系は、しばしば非可換な自由度を通して環境と連続的に相互作用するので、今回の結果から、このような状況において現代的な量子の基礎概念がどのように生じるかを研究するための手法が得られる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度