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超重元素:ノーベリウムの1度に1つの原子のレーザー共鳴イオン化分光
Nature 538, 7626 doi: 10.1038/nature19345
始原的同位体の光学分光は、伝統的に元素の原子構造を理解する基礎となっている。そうした研究は元素の大半で行われており、原子番号のほぼ二乗に比例して変化する相対論的効果を考慮に入れて高い精度で理論的にモデル化できる。しかし、原子番号が100を超える超フェルミウム元素については、原子構造が実験的に解明されていない。こうした放射性元素は、核融合反応によって速くても毎秒2~3原子という生成速度でしか作られず、生成直後に調べなければならない。このため、これまで光学分光法による観測は不可能であった。今回我々は、1度に原子1つの量のノーベリウム(No;原子番号102)のレーザー共鳴イオン化分光を行い、基底状態遷移1S0 → 1P1を同定したことを報告する。我々は、この結果と、リュードベリ系列の観測結果から得られたデータを組み合わせることで、ノーベリウムのイオン化ポテンシャルの上限値を得た。こうした外殻電子の直接レーザー励起による正確な結果は、検討している複雑な系のモデル化によって得られる遷移エネルギーの不確かさが大きいため、量子電気力学効果を取り入れた最先端の相対論的多体計算を用いても得ることができない。今回の研究結果は、ノーベリウムよりも重い元素のさまざまな原子特性や原子核特性の高精度測定への道を開くとともに、今後の理論的研究を促すものである。

