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超高速フォトニクス:マルチペタヘルツの電子計測

Nature 538, 7625 doi: 10.1038/nature19821

エレクトロニクスの速度限界は、固体の電子バンド中を動いている電荷キャリアに伴う電流の周波数によって決まるため、情報処理や信号処理の速度限界も決まる。電子の駆動に光場を用いると、固体における電荷キャリアの量子デフェージングよりも速い時間スケールで電流を誘起し操作できるため、従来使われているよりもはるかに高い周波数を使用できる可能性がある。これは、人工超格子におけるテラヘルツ(1012 Hz)エレクトロニクスの基礎をなすものであり、光を用いたスイッチや電流サンプリングの周波数を数百テラヘルツにまで拡張できる。本論文では、電子計測をマルチペタヘルツ(1015 Hz)周波数領域まで拡張できることを実証する。我々は、単一周期の強い光場(約1 V Å−1)を使って、二酸化ケイ素バルク中の電子運動を駆動し、次にそのダイナミクスを、アト秒(10−18秒)ストリーキングを使ってプローブして、現れる孤立したアト秒の極端紫外線過渡現象とその光ドライバーの時間構造をマッピングした。このデータから、極端紫外線放射と、周波数が約8ペタヘルツまで拡張されるバンド内の光誘起位相コヒーレント電流の確かな関連性が立証され、これにより、二酸化ケイ素の動的非線形伝導性が利用可能になる。アト秒時間スケールで固体内のバンド内電流の波形を直接プローブし、閉じ込め、制御することによって、マルチペタヘルツのコヒーレントエレクトロニクスを実現する方法が確立された。我々は、この手法によって、電子ダイナミクスと凝縮系の構造の相互作用を原子スケールで調べる新しい方法が可能となると予想する。

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