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免疫学:腫瘍微小環境内でのイオンによる免疫抑制がT細胞のエフェクター機能を制限する
Nature 537, 7621 doi: 10.1038/nature19364
腫瘍は、腫瘍特異的エフェクターT細胞に浸潤されているにもかかわらず進行する。腫瘍には細胞がネクローシスを起こしている領域があり、これは多様ながんで生存率の低さと関連している。本研究で我々は、マウスやヒトの腫瘍では、ネクローシスによって細胞内カリウムイオンが細胞外液中へ放出されると、T細胞のエフェクター機能の大幅な抑制が起こることを明らかにする。細胞外カリウム濃度([K+]e)が上昇すると、T細胞受容体(TCR)によるAkt–mTORリン酸化やエフェクタープログラムが障害される。カリウムによるAkt–mTORシグナル伝達およびT細胞機能の抑制は、セリン-トレオニンホスファターゼPP2Aの活性に依存する。上昇した[K+]eによる抑制的影響は、細胞膜電位(Vm)の変化とは無関係だが、細胞内カリウム濃度([K+]i)の増加を必要とする。そこで、カリウムチャネルKv1.3を過剰発現させることにより腫瘍特異的T細胞でのカリウム排出を増大させると、[K+]iが低下し、in vitroとin vivoでのエフェクター機能が改善され、黒色腫を持つマウスでの腫瘍排除が亢進して、生存率が上昇した。これらの結果は、腫瘍内でT細胞機能を阻害するイオン性チェックポイントを明らかにしたもので、がん免疫療法における新たな治療戦略の可能性を示している。

