地質学:37億年前の微生物由来の構造物の発見によって明らかになった生命の急激な出現
Nature 537, 7621 doi: 10.1038/nature19355
生物の活動は、CO2隔離の促進や気候フィードバックなどの、地球の化学的循環の重要な因子の1つである。従って、いつ生命が生じて、水圏–大気圏–岩石圏の化学的循環に影響を与えたのかは、地球の進化における重大な問題である。これまで、地球最古の生命の証拠は、グリーンランド南西部にあるイスア表成岩帯(ISB)から得られた38~37億年前の変成堆積岩や鉱物の安定同位体シグネチャーに集中してきたが、これについては議論も多い。今回我々は、ISBで新たに露出した37億年前の変成炭酸塩岩から、太古の生命の証拠を発見したことを報告する。この変成炭酸塩岩には、高さ1~4 cmのストロマトライト(微生物群集が作り出した肉眼で見える層状構造物)が含まれている。このISB由来ストロマトライトは、変成炭酸塩岩に含まれる微量元素の希土類元素とイットリウムのシグネチャーが海水のものに似ていることと、層間の砕屑性堆積岩に斜交葉理や高潮によって生じた角礫岩が伴っていることから、海の浅瀬で成長したことが分かる。最古の生命の痕跡として、これまでで最も説得力があって広く受け入れられてきた多分野にまたがる証拠は、オーストラリアのピルバラクラトンの34億8000万年前のドレッサー累層で見つかったものだが、今回のISB由来ストロマトライトはそれより2億2000万年も古い。このISB由来ストロマトライトの存在は、37億年前、すなわち地球の堆積記録の始まりに近い時期までに、海の浅瀬において生物学的なCO2隔離を伴う炭酸塩生産が確立されていたことを示している。37億年前までに生命が高度化していたことは、遺伝学的な分子時計研究によって生命の起源が冥王代(40億年以上前)とされたことと符合する。

