Letter

老化:DNA修復不全マウスで、食餌制限が早期老化とゲノムストレスを遅延させる

Nature 537, 7620 doi: 10.1038/nature19329

DNA除去修復遺伝子Ercc1を欠損した(Ercc1Δ/−)マウスは、早期老化を示す特徴が多数見られ、寿命は4~6か月に制限される。またこのマウスはある「生存応答」も示し、それによって成長が抑制され、細胞の維持が促がされる。こういった応答は、食餌制限(カロリー制限)によって誘発される抗老化応答に類似している。今回我々は、30%の食餌制限によってこれらの早老性マウスの余命の中央値および最大値が共に3倍になり、早期老化のさまざまな側面が著しく妨げられることを明らかにする。食餌制限下にあるマウスでは、自由給餌したマウスの寿命をはるかに超えても、ニューロンが50%多く保たれ、完全な運動機能が維持された。DNA修復に欠陥のある別の早老性マウスでコケイン症候群のモデルであるXpg−/−Ercc5−/−とも呼ばれる)マウスも、食餌制限に同様の応答を示した。Ercc1Δ/−マウスの食餌制限応答は、野生型マウスにおける食餌制限の影響と非常によく似ていた。特に、自由給餌したErcc1Δ/−マウスの肝臓の組織では、長い遺伝子が選択的に消失していた。この現象は、正常に老化しているいくつかの組織でも観察された。これは、確率論的に転写を妨げる損傷の蓄積と一致する。こうした損傷は短い遺伝子よりも長い遺伝子により強い影響を及ぼす。食餌制限によってこの転写出力の減退が大幅に抑えられ、γH2AX DNA損傷巣の数が減少したことから、食餌制限はDNA損傷を軽減することによってゲノムの機能を保護することが示された。これらの知見により、Ercc1Δ/−マウスが健康維持のための介入の強力なモデル生物になることが立証され、内因性のDNA損傷を減らすことができる可能性が明らかになり、食餌制限の分子機構についての理解が深まった。また、直感には反するが、ヒト早老症候群のゲノム不安定性やおそらくは神経変性一般に食餌制限類似療法が役に立つことが示唆された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度