化学:プロパルギル基およびアリル基の触媒的エナンチオ選択的1,6-共役付加
Nature 537, 7620 doi: 10.1038/nature19063
α,β-不飽和カルボニル化合物へのカルバニオン種の共役(すなわち1,4-)付加は、有機化学や医薬品化学の研究に不可欠であり、エノエートへの求核剤の触媒的エナンチオ選択的付加を促進するキラル触媒がいくつか存在する。しかし、触媒的エナンチオ選択的1,6-共役付加はまれであり、プロパルギル基やアリル基などの容易に官能基化できる部位を非環状α,β,γ,δ-二重不飽和受容体に組み込む1,6-共役付加は知られていない。ジエノエートのC6位に新たな結合を形成し得る化学変換は、その変換で得られた生成物をさらに修飾できる可能性があるため、特に望ましい。しかし、特に同様に置換された2つのオレフィンがジエノエートに含まれる場合、そうした反応は少なく、ホスフィン–銅触媒(アルキルグリニャール試薬、ジアルキル亜鉛、またはトリアルキルアルミニウム化合物と併用)、ジエン–イリジウム触媒(アリールボロキシンと併用)、ビスホスフィン–コバルト触媒(モノシリルアセチレンと併用)によって促進される反応に限定される。これら以外の場合の1,6-共役付加は、C4位が完全置換された基質に限定される。特定の触媒がC6での結合形成に有利に働く理由は明らかになっておらず、数少ない触媒的エナンチオ選択的共役アリル付加は存在するものの、プロパルギルユニットが関与する関連の1,6-付加や過程は存在しない。今回我々は、入手しやすい有機銅触媒が、非環状ジエノエートへのプロパルギル基や2-ボリル置換アリル基の1,6-共役付加を高い選択性で促進できることを示す。市販のアレニルホウ素化合物や一置換アレンが使用できる。生成物は、最高で83%の収率、98:2を超えるジアステレオマー比(アリル付加の場合)、99:1のエナンチオマー比で得られる。我々は、触媒構造と反応タイプに応じた高い部位選択性(1,6-対1,4-)とエナンチオ選択性の起源を含めて、機構的な詳細を密度汎関数理論計算によって解明した。また、今回の手法の実用性は、抗HIV薬(−)-エキセチンのエナンチオ選択的合成に向けた応用によって示された。

