免疫学:胚中心の低酸素状態と低酸素応答系による抗体の質の調節
Nature 537, 7619 doi: 10.1038/nature19334
胚中心(GC)は体液性免疫とワクチン効果を促進する。GCでは、抗原活性化B細胞は増殖して高親和性抗体を発現し、抗体のクラススイッチを促進して、B細胞記憶を生み出す。サイトカイン環境が免疫グロブリンクラス選択などのエフェクター機能を調節することは以前から知られていたが、T細胞媒介性の免疫の調節因子は、細胞自律的および外因性の代謝プログラムの両方であることが最近分かってきた。今回我々は、マウスにおいて、GCの明領域が低酸素状態であること、そして低い酸素分圧(pO2)がB細胞の生理と機能を変化させることを示す。増殖の低下とB細胞死の増加に加えて、低pO2は、AID(activation-induced cytosine deaminase)の発現を制限することによって、炎症促進性IgG2c抗体イソタイプへの抗体のクラススイッチを阻害する。低酸素状態はプロリルヒドロキシルジオキシゲナーゼ酵素群の活性を制限することによってHIF転写因子群を誘導する。これらの酵素群がHIF-1αとHIF-2αをヒドロキシル化すると、フォンヒッペル・リンダウがん抑制タンパク質(pVHL)による結合が起こり、HIFが不安定化される。pVHLのB細胞特異的な除去は、構成的なHIF安定化をもたらし、抗原特異的GC B細胞を減少させ、そして高親和性IgGの産生、IgG2cへのスイッチ、初期記憶B細胞および抗体のリコール応答を妨げる。HIF誘導により、代謝性および増殖因子の遺伝子発現が再プログラム化され得る。持続的な低酸素状態もしくはpVHL欠損によるHIF誘導は、Bリンパ芽球でのmTOR複合体1(mTORC1)活性を抑制し、またmTORC1ハプロ不全のB細胞は、クローン増殖、AID発現、およびIgG2cと高親和性抗体を産生する能力が低下していた。従って、GCの正常な生理には局所的な斑状の低酸素状態が必要であり、HIF依存的な酸素感知がB細胞の重要な機能を調節している。我々は、リンパ器官での酸素の制限は病態生理学的状態によって変わり得るものであり、それが体液性免疫を調節していると考える。

