Letter

分子生物学:生化学的再構築によって得られた、ヒト動原体の構造を解明するための手掛かり

Nature 537, 7619 doi: 10.1038/nature19333

染色体は遺伝物質を運ぶ担体であり、これらが細胞分裂の際に母細胞から2個の娘細胞へと正確に受け継がれることが、生物にとっては何よりも重要である。動原体はこの過程に不可欠であり、染色体に紡錘体の微小管を結合させる働きをする。動原体は多数のサブユニットからなる複合体で、セントロメアと呼ばれる特殊なクロマチン領域上で組み立てられる。このセントロメアには、ヒストンH3バリアントであるセントロメアタンパク質A(CENP-A)を含むヌクレオソームを濃縮する作用がある。さらに、構成的セントロメアタンパク質群CCAN(constitutive centromere associated network)と総称される数種類のCENPも加わって、動原体内層が形成される。一方、10個のサブユニットが集まったKMNネットワークと呼ばれる構造が、動原体外層の微小管結合部位を形成する。CENP-Aと、CCANの2個のサブユニットCENP-CおよびCENP-Nとの相互作用については、すでに報告されているが、CCANの構成やそれがCENP-Aの選択的認識にどう寄与しているかについての包括的な解明はまだなされていない。今回我々は生化学的再構築によって、動原体の構成と機能の根本原理を明らかにした。CCANの部分複合体で7個のサブユニットからなるCHIKMLN複合体の協同的相互作用が、H3ヌクレオソームよりもCENP-Aヌクレオソームの方に結合するという選択性を決定付けていることが分かった。このCENP-A:CHIKMLN複合体がKMNネットワークに直接結合して21個のサブユニットからなる複合体が生じ、これがin vitroでCENP-Aヌクレオソームと微小管の間に最小限の高親和性結合を形成させる。この構造モジュールは、わずか1本の微小管と結合する菌類の点状の動原体によく似ている。このモジュールが複数のCENP-Aタンパク質ともつれ合うことによって、多数の微小管と結合する、より高等な真核生物の局所的な動原体が生じるのかもしれない。生化学的再構築によって、動原体の作用機構の解析と定量的解析のための道が開かれる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度