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がん:HER2発現から明らかになる循環乳がん細胞内の動的な機能状態

Nature 537, 7618 doi: 10.1038/nature19328

進行したエストロゲン受容体(ER)陽性/ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性乳がんの女性患者の循環腫瘍細胞は、複数回の治療の後にHER2陽性の細胞亜集団を獲得する。HER2が増幅した原発性乳がんはHER2標的療法に高感受性であることは分かっているが、それとは対照的に、転移性乳がんの進化過程で獲得されたHER2不均一性の臨床的意義は分かっていない。今回、ER+/HER2原発性腫瘍の19人の女性患者の循環腫瘍細胞を解析したところ、19人のうちの84%がHER2を発現する循環腫瘍細胞を獲得していた。培養循環腫瘍細胞は別個のHER2+細胞亜集団とHER2細胞亜集団を維持している。HER2+循環腫瘍細胞はより増殖能が高いが、HER2に依存しておらず、これは複数のシグナル伝達経路の活性化と一致している。HER2循環腫瘍細胞ではNotch経路およびDNA損傷経路の活性化が見られ、細胞毒性化学療法には耐性だが、Notch阻害には感受性である。HER2+循環腫瘍細胞とHER2循環腫瘍細胞は自発的に相互転換し、一方の表現型の細胞は細胞倍加4回以内にもう一方の表現型の娘細胞を産生する。HER2+循環腫瘍細胞とHER2循環腫瘍細胞は、腫瘍イニシエーション能は同等だが、増殖能は異なっていてHER2+状態の方が高いが、酸化ストレスあるいは細胞毒性化学療法はHER2表現型への転換を高める。パクリタキセルとNotch阻害剤の同時投与は、同所性循環腫瘍細胞由来腫瘍モデルで腫瘍形成を持続的に抑制する。まとめるとこれらの結果は、患者由来の循環腫瘍細胞内には相互転換する異なる表現型が存在しており、これが乳がんのプログレッションおよび薬剤耐性の獲得に関与していることを明らかにしている。

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