Letter

気候科学:南大洋の塩分分布とその最近の変動を駆動する海氷の輸送

Nature 537, 7618 doi: 10.1038/nature19101

近年の南大洋における塩分変動は、全球海洋における気候変動を示す最も重要な証拠の1つであるが、その根底にある原因は確証されていない。今回我々は、南極海氷の北方への輸送の傾向が塩分変動の大きな要因であると提案する。我々は、衛星観測の結果を海氷の再構築で補って、海氷による北方への淡水の風成輸送が1982年から2008年の間に20 ± 10%増加したと見積もった。太平洋域で最も強く確実な増加が生じており、観測された最大の塩分変動と一致している。我々は、海氷の北端全体に淡水が加わって、10年当たり−0.02 ± 0.01 g kg−1という観測された淡水化速度と同程度の淡水化速度が、外洋の表層水と中層水に生じたと見積もっている。海氷の移出の強化に伴う南極沿岸における塩分排出の増大によって、大陸棚の水と新しく作られた低層水の氷河融解水の増加による淡水化が相殺される。今回の結果の基礎となったデータソースの不確かさはかなり大きいが、地域的な解析と、大気再解析から得られた独立したデータは、今回の結論を裏付けている。北方への海氷淡水の輸送が南大洋の平均塩分分布を決める重要な要因であるという今回の知見は、海氷由来の淡水フラックスの重要性をさらに裏付けている。この過程は、海洋の密度構造に対する影響を通して、海洋深層水と表層水の間の熱、炭素、栄養分の交換に影響を与え、全球の気候に重大な影響を及ぼしている。

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