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発生生物学:マウス、サルおよびヒトにおける多能性の発生座標

Nature 537, 7618 doi: 10.1038/nature19096

胚盤葉上層(EPI)は、哺乳類における全ての体細胞と生殖細胞の起源であり、in vitroでは多能性幹細胞の起源でもある。今回我々は、ヒトと霊長類の多能性の個体発生過程を調べるために、カニクイザル(Macaca fascicularis)の着床前と着床後のEPI発生について、包括的な単一細胞RNA発現解析を行った。その結果、胚盤胞での細胞運命指定後に、カニクイザルのEPI(cyEPI)が着床においてトランスクリプトームに大きな変化を起こすことが明らかになった。その後、原腸形成を行う細胞を生み出すとともに、cyEPIは1週間以上にわたって安定的にトランスクリプトームを維持し、独特な多能性遺伝子セットを保持し、また「ニューロン分化」の特性を獲得していた。ヒトとサルの多能性幹細胞は着床後の後期cyEPIと高い類似性を示し、一方で、着床後の後期cyEPIは原腸形成中の細胞と共存しているにもかかわらず、原腸形成前のマウスEPIやin vitroでの胚盤葉上層様細胞の特徴を有する。これらの知見は、EPI発生の相違性と類似性を示すだけでなく、主要な種における多能性スペクトラムの発生座標を明らかにするものであり、in vitroにおけるヒト多能性の調節を向上させるための基盤になるだろう。

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